はんのうせいかんせつえん

反応性関節炎

最終更新日:
2021年04月23日
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2021/04/23
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概要

反応性関節炎は、感染症の後に起こる関節炎を主体とした炎症性疾患です。消化器や泌尿生殖器などの感染症が発症のきっかけとなりますが、感染によって必ず反応性関節炎を発症するわけではなく、遺伝的・環境的要因によって発症しやすさに個人差があるとされています。過去にはライター症候群と呼ばれており、血清反応陰性脊椎関節症(けっせいはんのういんせいせきついかんせつしょう)というグループにまとめられたのち、現在は脊椎関節炎という疾患グループの1つに分類されています。

関節炎は下肢に見られることが多いですが、手の指や腰に症状が現れることもあります。

関節炎のほかに、皮膚や粘膜の病変、尿道炎結膜炎などが比較的よく見られます。症状は数か月で自然によくなることが多いですが、慢性化したり再発を繰り返したりする場合もあります。

診断のための特別な検査はなく、臨床症状と問診から総合的に判断されます。HLA*-B27というヒト白血球抗原が発症に関連するため診断の参考とされることがありますが、このHLAをもっていると必ず発症するというものではありません。治療は、感染症に対する治療と関節炎やそのほかの症状に対する治療の両方が必要となります。

*HLA:もともと白血球の血液型として発見され、その頭文字をとってHLAと呼ばれてきましたが、現在ではHLAは白血球だけでなく赤血球を除く体のほぼ全ての細胞に存在していることが分かっています。

原因

反応性関節炎は、消化器や泌尿生殖器の感染症がきっかけとなって起こる感染症です。原因となりうる細菌は、消化器感染では赤痢菌、サルモネラ、エルシニアなどが多く、泌尿・生殖器感染ではクラミジアが一般的です。

これらの細菌に感染してもほとんどの人は関節炎を発症しませんが、遺伝的・環境的な影響により反応性関節炎を発症しやすい体質の人がいると考えられています。遺伝的要因として、先に述べたHLA-B27というヒト白血球抗原を持っていることが発症に大きく影響することが分かっています。

消化器や泌尿生殖器の感染症がなぜ関節の炎症を引き起こすのかについては、いくつかの説が提唱されていますが、現時点ではっきりとしたメカニズムは明らかにされていません(2020年12月現在)。関節液の細菌培養は陰性であり、非化膿性関節炎です。

症状

反応性関節炎の症状は、関節炎のほか、皮膚粘膜病変、尿道炎結膜炎などがあります。また、全身症状として微熱、体重減少、疲労などが現れる場合があります。反応性関節炎の症状が現れる数週間前に、下痢や尿道炎などの細菌感染症の症状が現れるのが一般的です。感染している細菌の種類によって、その後の症状が多少変わるといわれています。半数で、症状は6か月で、ほとんどの患者で1年以内に症状が消失しますが、15~50%で慢性化したり再発を繰り返したりすることがあります。まれに、心臓や血管、脳や神経の症状が現れることがあります。

関節炎

膝や股関節など、下肢の大きな少数の関節に現れる関節炎が主体となります。手や足の指などの多数の関節に炎症が起こる場合もあります。仙腸関節(腰にある骨盤の関節)の炎症では、腰や臀部の痛みが現れます。腱が骨に付着する部分(アキレス腱や足底や膝など)に炎症が起こり、痛みが生じることもあります。

皮膚粘膜病変

口の中の粘膜や舌が赤くなり、痛みのないびらんが生じることがあり、時に出血を伴います。手のひらや足の裏に小さな水疱(すいほう)が現れ、盛り上がったり結節になったりしながら癒合し、角質が厚くなる“漏性角化症(のうろうせいかくかしょう)”は特徴的な皮膚病変です。男性では、亀頭に赤く境界明瞭な病変が出現し、浅い潰瘍(かいよう)を形成する“連環状亀頭炎”を生じることがあります。

尿道炎

泌尿生殖器の感染症が原因となる場合、尿道炎によって排尿時痛や排尿時の不快感、過剰な分泌物などの症状が現れることがあります。男性では、時に前立腺の炎症を伴います。

結膜炎

目とまぶたの裏を覆う結膜が炎症を起こすと、充血、かゆみ、痛み、違和感、光に対する過敏、過剰な流涙などを引き起こします。目の症状としてはほかに、角膜炎ぶどう膜炎が起こることもあります。

検査・診断

反応性関節炎を診断するための特殊な検査はなく、問診と臨床的な症状から総合的に診断されます。関節炎の症状、それより前に現れた消化器や泌尿生殖器の細菌感染症状、血液を用いた細菌の抗体検査や、尿や便などの細菌検査(培養、PCR)で検出された菌などが重要な所見となります。関節の状態を詳しく調べるためにX線(レントゲン)やMRIなどの画像所見が参考にされることがあります。

HLA-B27の検査が行われることもありますが、この遺伝子をもっているからといって必ずしも反応性関節炎であるとは限りません。似たような症状の現れるほかの病気の可能性を否定するために、そのほかの検査が行われることもあります。

治療

反応性関節炎では、感染症に対する治療と、関節炎やそのほかの症状に対する治療の両方が必要となります。感染症に対しては、細菌の種類に応じた抗菌薬による治療が行われます。クラミジア感染では抗菌薬治療が有効ですが、腸炎に続発した反応性関節炎では抗菌薬の有効性は証明されていません。

関節炎の症状は自然によくなる場合には特別な治療がされないこともあります。薬物治療としては通常、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が初めに処方されます。関節炎が長く続く場合には、抗リウマチ薬であるスルファサラジンやメトトレキサートなどが用いられます。重症の場合には、ステロイドの注射や内服、生物学的製剤(体内に存在するたんぱく質を応用して作られた薬)などが使用されることがあります。

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